たとえば近ごろワイドショーを騒がせている、女の方のブログを眺めていて、思いました。自らを名前で呼んでいる‥‥つまり一人称に「私」とか「僕」ではなく、『Kは』なんて具合にしている方と合いますと、私は虫唾が走ります。正確にいうと、この事象については以前そうでした。
その女性の文体に触れていくうち、どこか懐かしい感情を覚えて、記憶を辿っていきましたら、好きだった彼女にも時おりそういったところが見られ、一人称に下の名前を用いることがあったのです。
‥不思議なものですね。彼女の場合、虫唾が走るどころか、それすらも愛おしくて。隣で聴いていてドキドキしたほどです。私は自らを『A』と呼ぶ、そのヒトのことが好きでした。
そういえば彼女の歯は白くなかったと思います。女性の歯はなるべく白色であるべき‥私に変な固定観点があったものですから、まったく気にならなかったといえば嘘になりますが、次第にそれも気にならなくなりました。多少歯が黄色くたっていい。タバコを吸っている彼女ごと、愛していた...
あばたもえくぼ。とは、昔の人もよくいったもの。他人から見たら欠点と思われることが、何とも思わなくなります。むしろ、好きになってしまいます。恋愛期間中“好きになった方”は、おそらく魔法がかかっているのでしょう。そのヒトの本当にすべてが、ただただ愛おしくてたまりません。
だから、彼女にまだ私の知らない顔‥たとえ、どんな過去を持っていたとしても、揺らがずに受け入れられる自信があります。それらを含めて、今いる彼女を好きになったのですから。ヒトを“愛する”とはそういうことなのではないでしょうか。恋は冷めても、愛は上にあがっていくだけ‥‥。そこに到達するまでが、なかなか難しいのですけれど(苦笑)
あのセリフを思いだします。
いいんです。ボクは、この人を思っているあなたごと、抱きしめていきます
【101回目のプロポーズ】より。これは主人公である達郎の「覚悟」の表れです。想いを寄せる薫は死別したフィアンセを忘れずにいた‥。ようやく前を向いて歩きだしたとき、達郎のプロポーズを受けます。ちなみにここでのプロポーズが、かの有名な『ボクは死にません』 ですね(笑)
でも達郎は、ムリして忘れることなんかないんだよ。ボクは今の、彼を忘れられずにいるあなたを含めて愛している。これからも、ずっと愛し続けていく...
受けとめるとか、守り抜くではなく「抱きしめる」と言っているあたり、達郎の知性とセンスの良さを感じます。‥演じた武田鉄矢さんが口にしますと、なにか金八先生と重なってみえてしまう部分も、なくはなかったのですが(笑)
「抱きしめる」覚悟‥‥その覚悟だけは、今の私も強く、持っています。
ラベル:101回目のプロポーズ
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